季節問わず冷え性で悩んでいるという方も多いかもしれません。体が冷えると健康に悪影響を及ぼすことがあるため、原因を見極めて対策を講じることが必要です。
この記事では、冷え性の原因と改善策について解説します。冷えに効果的なマッサージやエクササイズなどもご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
冷えのメカニズムと症状
私たち人間には血流を増やしたり汗をかいたりするなどして、体温を一定に保つ機能が備わっています。これは「自律神経」の作用によるもの。自律神経は意思に関係なく働き、活動と休息のバランスをとっている神経です。この自律神経が血管の収縮・拡張をコントロールすることで、皮膚の表面温度を変化させ体温を調節しています。
しかし自律神経の乱れや血流悪化などによりこのシステムがうまく作動しなかった場合に冷えが生じてしまいます。その他さまざまな冷えの原因については、のちほど詳しく解説しますね。
自覚症状としては以下のようなものがあります。
- 暖かい場所にいても手足が冷える
- 厚着をしても冷える
- 就寝時、布団に入ってもしばらく手足が冷えている
- 下痢や便秘がちである
- 痩せにくい
当てはまる項目が多ければ多いほど、冷え性の程度が強いといえるでしょう。
冷え性の原因
ただ単に気温が低くて寒いという状態ではなく、体の末端に位置する手足が常に冷えているような状態が冷え性です。本来私たちの持つ体内システムにより体温は一定に保たれるべきですが、何らかの原因によりこのシステムがうまく機能しなくなると冷えが生じます。
ここでは冷え性の原因について詳しく見ていきましょう。
血液循環の悪化
冷え性のそもそもの原因は血流の悪さによるもの。寒いときは体の中心に血液を集めて体温を維持しようとします。このような作用により、末端に位置する手足には血流が十分に行き渡らず血管が収縮してしまうことで、冷えを感じやすくなるのです。
また、きつい下着や靴などを身に付けることによる体の締め付けも、血液循環を停滞させる原因となります。
自律神経の乱れ
自律神経は体温調節や血流のコントロールなどに関わる神経です。そのため、ストレスや不規則な生活などによって自律神経が乱れると冷え性を引き起こします。ストレスなどの他、効き過ぎる空調も室内外の激しい温度差を招き、自律神経を乱します。特に暑い時期の冷房の効き過ぎは夏の冷え症の原因となるため、注意しましょう。
筋肉量の減少
筋肉量が少ないと冷え性を起こしやすくなります。
筋肉を動かすにはエネルギーが必要で、筋肉量が多いだけで運動に伴う熱産生や血流がアップします。つまり、筋肉量が少ないと筋肉運動による熱産生や血流が低下し冷えにつながるというわけです。
女性ホルモン
女性ホルモンの分泌は自律神経の働きに影響を与えます。そのため月経前後や更年期などは自律神経の不調により血行不良となり、冷えを生じることがあります。
病気が原因の冷えもある
冷え性は血流の悪さや自律神経の乱れなどが大きな原因となります。しかしマッサージやエクササイズなども含め、さまざまな対策を講じても改善しない場合は、何らかの病気が原因となっている可能性もあるでしょう。
冷えが生じる可能性のある病気の一部を、以下にご紹介します。
- 貧血
- 膠原(こうげん)病
- 甲状腺機能低下症
- 閉塞性動脈硬化症(手足の動脈が詰まり血流が滞る)
膠原病は、手指の先など末端の血流が悪化することにより「レイノー現象」を引き起こします。レイノー現象では、冷たいものに触ったり寒くなったりしたときに指先が白くなったのち、紫や赤に変化し痛みやしびれを伴います。
このように、つらい冷えが一向に改善しない場合は病院を受診してみましょう。
冷えが原因で起こるさまざまな症状
冷えによって起こる不調には以下のようなものがあります。
- 抜け毛や薄毛、白髪
- 肌のくすみやクマ・シミ・シワ、たるみ、ニキビ、乾燥やかゆみ
- 不眠、イライラや不安感
- 疲れ目やドライアイなど目の不調
- 肩こり・腰痛・頭痛・だるさ・疲れ・関節痛・めまい・耳鳴り
- 月経痛・月経不順
- 便秘や下痢
- 肥満
- むくみ
冷えを放置しておくとさまざまな不調の原因となるのですね。次の章では冷えの予防や改善法をご紹介します。
冷え性の予防・改善法
さまざまな不調の原因となる冷え。「冷え性かもしれない」と感じたら早めに対処しましょう。ここでは冷えの予防に有効な対策や、改善に効果的なマッサージやエクササイズなどをご紹介します。
食事や生活習慣を見直す
冷え性の予防や改善のため、食事や生活習慣を見直してみましょう。
冷え対策のための食事
冷たい飲み物や食べ物は控えたりエネルギー、つまり熱源を産生するのに必要な栄養素を摂取できるよう栄養バランスのよい食事を心掛けたりすることが大切です。またショウガやトウガラシ、にんにく、玉ねぎ、ねぎなどの食材も体を温める効果が期待できるため、積極的に取り入れてみましょう。
【体を温めるのに有効な主な栄養素】
- たんぱく質:筋肉の材料となり熱を生み出す
- ビタミンB1:糖質からエネルギーをつくり出すことに関与する
- ビタミンE:血流を促す
- ビタミンC:鉄の吸収を促進し、毛細血管の健康を保つ
冷え対策のための生活習慣
体を温めるための習慣を取り入れましょう。例えばお風呂はシャワーで済ませがちという方は、ゆっくりと湯船につかるようにすることも冷えを解消するのに有効です。また下半身を冷やさないような服装や、締め付けの強くない衣服や靴を身に付けるようにすることもポイントとなります。
さらに自律神経を正常に機能させるにはストレスをためないような工夫も大切。体を動かしたり音楽を聴いたりと、ご自身に合ったストレス解消法を見つけて気分転換を心掛けましょう。
冷え性改善に効果的なエクササイズ
運動不足や筋肉量の減少冷え性の原因となるため、日常生活にエクササイズを取り入れいうのもおすすめです。
もっとも手軽なエクササイズがウォーキング。まずは買い物ついでに歩くことから始めるのもよいでしょう。いつもより歩く時間を増やしたり、階段を使うようにしたりすることで冷え性の改善につながるかもしれませんよ。ウォーキングのほか、屋内で出来るストレッチや簡単な筋トレなども、筋肉量アップや運動不足解消におすすめです。
なかでも特に血流改善に効果的なのが「ふくらはぎ」のエクササイズ。ふくらはぎは下肢(足)の血液を心臓に戻すポンプのはたらきをすることで、下肢の血流の改善に役立っています。
簡単にできるふくらはぎのストレッチをご紹介します。
【座った状態で行う場合】
- 椅子に座ったままで片足をまっすぐ伸ばします
- つま先を手前に引き、かかとを出すようにしてふくらはぎを伸ばしましょう。
- ②の状態で静止します。
- 次はつま先を②とは逆の方向へ伸ばし、静止します。
- もう片方の足も同様に行いましょう。
【立った状態で行う場合】
- 肩幅程度に足を開いて立ちましょう。
- かかとを上げ、つま先立ちになります。
- 限界までかかとが上がったら一旦静止します。
- ゆっくりとかかとを下げましょう。
ちょっとした隙間時間にもできるエクササイズなので、ぜひ試してみてくださいね。
冷え性改善に効果的なマッサージ
まずは血流を促すのに効果的な、手や足の簡単なマッサージをご紹介します。
【手&指先のマッサージ】
- 親指と人差し指を使い、もう片方の手の指を1本ずつ指先に向かってもんでいきましょう。
- 手のひらの真ん中、親指の付け根、小指の付け根をもみほぐします。
【足の甲・指のマッサージ】
- 足の甲を両手で持つように掴み、親指の腹で撫でるようにマッサージします。
- 足の指は、1本ずつ根元を握るようにもみほぐしましょう。
また脂肪がつきやすいお腹回りも、実は冷えやすい部分です。おなかの冷えは便秘や生理痛の要因となるため、鎖骨のあたりからおへその下あたりまで、上から下へ手のひらを軽く滑らせるようにマッサージしましょう。
まとめ
冷え性の原因はさまざまですが、特に大きく関わるのが血流の停滞や自律神経の乱れなどです。また女性ホルモンの影響や筋肉量の減少によっても生じることがあります。冷えは体にさまざまな不調を及ぼすため、早めの対処が必要です。
「体を冷やしたくない」「冷え性かもしれない」と感じたら、生活習慣や食事を見直したりエクササイズやマッサージを取り入れたりすることで予防や改善に努めてみてくださいね。